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2023年4月5日水曜日

ウエルビーイング。SDGsの目標3は「すべての人に健康と福祉を」

SB国際会議2023東京・丸の内
生活の豊かさや幸福度を意味するウェルビーイング。SDGsの目標3は「すべての人に健康と福祉を」と訳されているが、英語版では「Good Health and Well-being」であり、SDGsにウェルビーイングが組み込まれていることがわかる。本セッションは、SDGsの核心である持続的成長とウェルビーイングはどのような関係にあるのかをひもとき、ウェルビーイングはSDGsが抱えている難問を解決することができるかを信頼できるエビデンスに基づいて検証。さらに歴史を振り返り「日本流のサステナブルウェルビーイング」を探った。(岩﨑 唱) ファシリテーター 岡山慶子・朝日エル 会長 パネリスト 竹上真人・松阪市 市長 三井高輝・松阪市 政推進会議 委員 奥 正廣・日本創造学会 評議員(元理事長・会長)/東京工科大学名誉教授 ウェルビーイングをSDGs達成の指標に ファシリテーターの朝日エル 会長の岡山慶子氏は、冒頭で、「今やSDGsの認知はとても高まっている。一方、ウェルビーイングは、平成23年度から教育振興基本計画の中でも取り上げられ、各企業でもさまざまな取り組みが行われている。このSDGsとウェルビーイングは、どのような関係にあり、お互いに調和することができるのだろうか」と疑問を投げかけた。 日本創造学会 評議員の奥 正廣氏は、「ウェルビーイングでSDGsの難問を解決できるかというと、できないというのが答え」とし、「なぜなら、持続可能な成長の根底には自然科学的な熱力学の問題があり、ウェルビーイングのような主観や心理の問題ではないからだ」と説明。一方で、「SDGs達成の指標は、GNP(国民総生産)ではなく、ウェルビーイングにすることが重要」だと指摘した。 科学的事実と歴史から学ぶサステナブルウェルビーイング 奥氏は「SDGsはイノベーションによって達成できると考えられているが、そうではない。持続可能な成長は、自然科学の熱力学的な制約に関係する」と述べ、石油資源に頼らざるを得ない現在の社会に対する警鐘を鳴らし、十数年後を見据えた実行可能で持続可能な文化・文明の再構築の必要性を訴えた。 さらに、ニコラス・ジョージェスク=レーゲンが『経済学の神話―エネルギー,資源,環境に関する真実』で挙げている持続可能性の4条件や、加藤尚武の環境倫理学の3原則などを紹介し、「物質生産、消費、廃棄を減らして、生きがいのある生活様式を構築することが課題」と強調。また、渡辺京二の『逝きし世の面影』では、江戸時代後期から明治時代初期に日本を訪れた欧米人が日本庶民の生活を見て、驚嘆・賞賛していることを紹介した。奥氏は「江戸時代には、サステナブルでウェルビーイングな生活があったのではないか」と述べ、そこに日本流サステナブルウェルビーイングのヒントがあると主張した。 人材育成と人材登用に配慮してきた三井越後屋 次に、サステナブルでウェルビーイングな街づくりを展開している三重県松阪市市長の竹上真人氏と松阪市政推進会議で委員を務める三井高輝氏がオンラインで登壇した。竹上市長は、三井グループ創始者の三井高利や『古事記伝』を著した本居宣長、北海道の名付け親でアイヌ民族を守るために尽力した松浦武四郎など、松阪が多くの偉人を輩出していることを紹介し「松阪は徳川御三家の一つである紀州藩の飛び地(地理的に分離している領地)であり、武士階級ではなく町年寄と呼ばれる町人が町を治め、自由闊達な雰囲気があった」と述べた。 三井氏は、「三井越後屋の創業は350年前、これだけ長期にわたって企業として継続・発展できたのは、人を大切にしてきたため」と述べ、人材育成と人材登用に配慮してきた点を指摘した。また、当時は商人同志が競争相手ではなく同郷の仲間同士として助け合っていた事実を挙げ、その根底には町の商人が政治を動かしていた松阪のオープンマインドな気風が関係しているという。 日本流サステナブルウェルビーイングとは (SB国際会議資料より) 岡山氏は「日本流サステナブルウェルビーイングは、一人ひとりがどう生きるべきかを考え、他者をどう考えるかがスタートだ」と述べた。奥氏は「江戸時代後期は、土地開発や食料生産は限界に達し、人口は3000万人ぐらいで安定していた。人々は、いかに平和で持続可能な社会を維持し、かつそれぞれの職分(士農工商)の生活の中で生きがいを見出すかが問題になっていて、それなりに高いウェルビーイングを実現していたと考えられる」と説明した。 岡山氏は「私たちは江戸時代に戻ろうと言っているのではなく、そこにあるエッセンスを科学的に見ることで、ウェルビーイングとSDGsを両立させる答えが見つかるのではないかと考えている。日本のそれぞれの土地や、企業、教育機関などに素晴らしい事例があり、それらを共有していくことが、今私たちが考えているサステナブルウェルビーイングに大切なことだ」と結論づけた。 岩﨑 唱 (いわさき・となお) コピーライター、准木材コーディネーター 東京都豊島区生まれ、日本大学理工学部電気工学科卒。いくつかの広告代理店、広告制作会社で自動車、IT関連機器、通信事業者などの広告企画制作に携わり、1995年に独立しフリーランスに。「緑の雇用」事業の広告PRに携わったことを契機に森林、林業に関心を抱き、2011年から21018年まで森林整備のNPO活動にも参画。森林を健全にし、林業・木材業を持続産業化するには、木材のサプライチェーン(川上から川下まで)のコーディネイトが重要と考えている。 企業とスポーツの連携が地域にもたらす多元的価値とは――明治安田生命とJリーグの挑戦 記事イメージ 03.23 # Sponsored 他社連携と生活者の巻き込みで実現へ――凸版印刷が本気で取り組むサーキュラー・エコノミー 温室効果ガス「2035年までに60%削減を」 IPCCが政策決定者向け第6次報告書で新基準 変革の時代のサステナビリティ経営はパーパスの再定義から始まる エネルギー高騰の鎮静化は本物か? 2023年以降の市場を占う SDGsで地域活性化を加速するために――自治体と企業による共創事例ピッチ〈後半〉 地方創生の取り組みをひとつの自治体で推進するのは難しく、さまざまなステークホルダーとの連携が必要だ。そこで必要になるのがSDGsという共通言語であり、国が進める「地方創生SDGs」では、自治体業務の合理的な連携の促進が期待されている。自治体と企業による共創事例ピッチ〈後半〉では、ベッドタウンとしての生き残りをかけてDX化に挑んだ京都府城陽市、地域産業に結び付けセルロースナノファイバーを地域活性化のためのブランドにしようと取り組む静岡県富士市、自然災害からの復興を「レスポンシブルツーリズム」をテーマに高校生と取り組んでいる熊本市を紹介する。 サステナビリティを促進するインフルエンサーは消費者の行動をどう変容させるのか:ユニリーバが英・米・カナダで検証 ユニリーバはこのほど、サステナビリティに関する情報発信を行うインフルエンサーや行動科学者らと連携して、インフルエンサーの発信内容が消費者のサステナブルな行動・購買決定に与える影響を検証した結果を発表した。企業・ブランドが消費者の行動に良い影響を与えるために、ソーシャルメディアのインフルエンサーの力をどう活用し、最大化できるかを検証したものだ。 サステナビリティ先進国のデンマーク企業に共通する「事実を伝えること」の重要性 大量消費型のビジネスから持続可能なビジネスへ、化石燃料から再生可能燃料への移行が喫緊の課題と叫ばれている中で、企業は事業としての収益性や持続可能性と同時に、人々のウェルビーイングな暮らしを考えていかなければならない。デンマークはサステナビリティで世界トップクラスの国となっており、デンマーク企業から学ぶことは多い。 記事イメージ 04.04 # SB2023TOKYO ウェルビーイングはSDGsの難問を解けるか 生活の豊かさや幸福度を意味するウェルビーイング。SDGsの目標3は「すべての人に健康と福祉を」と訳されているが、英語版では「Good Health and Well-being」であり、SDGsにウェルビーイングが組み込まれていることがわかる。本セッションは、SDGsの核心である持続的成長とウェルビーイングはどのような関係にあるのかをひもとき、ウェルビーイングはSDGsが抱えている難問を解決することができるかを信頼できるエビデンスに基づいて検証。さらに歴史を振り返り「日本流のサステナブルウェルビーイング」を探った。

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